結婚相談所で結婚した人のブログ

20代半ばで縁のない環境に見切りをつけて結婚相談所に入会→のち1年後に成婚退会したら今度は母が結婚相談所に入会。結婚までのアレコレを綴ります。

営業くんと飲みに行った話

人生にはなにがおこるかわからないのです。今週の頭もそうで、ananの占いで「もう週頭は不調。恋愛も仕事もだめ」とばっさり切り捨てられた、その週頭に、取引先の営業で同い年の男の子がひょっとオフィスを訪ねてきました。
あまり大声では言えないのだけど、うちはほとんど自営レベルの人数構成で、わたしは7割くらいの時間をひとりで仕事していて、うちのオフィスはこの営業くんの臨時休憩室と化しています。といっても季節ごとに1回くらい、どうしてもサボりたくなったときなのか、夏の猛暑に耐えかねて冷えたお茶を飲みたくなったときなのか、仕事でヘマしたときに一時的に退避したかったのか、理由はよくわからないけれど彼は油を売りに来ていて。たまに本当に契約するときもあるものの、彼が扱っているのは大企業に導入されるようなOA機器なのでそうそう契約はできない。そんなこんなで彼とは4年くらいビジネス上の知り合いをやっています。
その彼が大体4ヶ月ぶりに顔を出しまして。佐野岳によく似ている営業クンはニコニコしながら「昇進したんすよ」と刷りたてだという名刺を差し出してきました。なるほど名前の上にそれらしき肩書が追加されている。「そうなんだ、よかったね」「辞令出たのもうほんと最近なんす」という。「それで今日は何の用?」と聞けば、印刷機器の展示会があるので来てくれないかというよくある話でした。
「会場がうちの営業所のブロックから遠いから誰も来場者とれないんすよ。うちの営業所で1人は来てもらおうって言ってて。でも今の時点でだれも取れてない」「なるほどね。日程はいつ?」「明日っす」「だいぶ急だね」「そうなんすよ。5時まではやってるから終わり際に行って、一緒に飲みませんか」おお。それはいい。というわけで営業クンと展示会に行き、その後飲むことにしました。

ところが、展示会はいつも通りだったのに店に入ってから急に静かになる営業くん。なんかテンション低くない…?いつももうちょっとしゃべるタイプだった気がするんだけど、と思いつつ20分くらい飲んだり食べたり。
ついに沈黙に耐えかねて「わたし今婚活してるんだけどさ」という話を切り出しました。「ええ!マジっすか」食いついてくれてよかった。「春にお見合いした人と梅雨くらいに「あなたで本格検討します」のフェーズまで行ったんだけど、9月なかばくらいに今後どうするか聞いたらまだ考えたいし他の人と会ってみて考えたいって言われて戻したのよ」「は、なんすかそれ、ダメじゃないすかそいつ」「一応年明けの1月半ばでどうするか決めるって本人が言ってるんだけど、ほんとに決められるのかどうかわからないし、断られたら断られたでどうしたらいいかわかんないし」「そもそもその相手の何がいいんすか、沓子さんにとって」「これがうまく言えないんだなあ、いろいろある気はするんだけど、どれも日本語にできない」「なんかいいとこあるから別れて他の人には行けないってことっすもんね」「そうねー」「そもそもなんで相手は沓子さんに決められないんすか」「決めて失敗するのがいやなんだって」「そいつやばくないすか、沓子さん前にして失敗するのがいやって、すげぇ失礼じゃないすか、沓子さん失敗なんすか」「うーんありがとう、営業くんの男気をわけてあげたい」「はあ」
営業くんが生ビール3杯目にさしかかるころ、「正直に言っていいすか」とたたずまいを正して言い出した。「ぼくそいつが沓子さんに決められるとは思えないんすけど。色んな女の人と遊べる状態でさぁじゃあそろそろ決めますかってならないですよね普通」「うーん、遊べてるのかどうかはわかんないけど、その日が来たからハイ決めますってことは多分できなくて、ダラダラしながらもうこれ以上伸ばしてもしょうがないでしょ、成婚退会しよ、って感じになると思う」「クソじゃないすかそいつ」「そうねー」「僕がその人の年齢で10歳以上も年下の女性から言い寄られたら会費倍払いますよ」「それはウケる」

そんなこんなで本交際してた人Disりが続き、ひとしきり飲み食いしたので出ますか!とチェックして外に出てみると雨が。「うっわ雨だ、僕傘持ってないんすよね」「大丈夫、折り畳み傘持ってる〜」「まじすか!うーん営業マン失格っすね」といいながら、広げた折り畳み傘の持ち手を実に自然に持ってくれた。さしてくれるらしい。「持ってくれるの?」「当たり前じゃないすか」当たり前じゃない。本交際してた人と同じ傘に入って歩いたことがあるけど、終始わたしが持っていた。
駅の改札前で別れて、電車に乗り込んですぐLINEがきた。「楽しかったっす。大変な時期だと思いますけど、僕はいつでも沓子さんの味方なんで、またいつでも飲みにいきましょう」えらい。えらいね。多分『あたりまえっすよ』って言うんだろうけど。
これが月9ドラマなら路上でキスくらいしてるだろうなと思いつつも、これは現実なのでそういうロマンスのあるストーリーにはなりませんでした。ロマンスのあるストーリーに持っていこうという気も起きなかった。あんぽんたんです。

本交際していた人の何が良くて、何でその人と結婚したいと思っているのかは未だにうまく言語化できないものの一つです。そばにいたいと思っているとかそういう次元ではなく、そばにいるべき人間だと知っている、と言ったほうがしっくりきます。なぜそうなのかは全然わかりません。自分で申込も支払もしたのにそれをすっかり忘れていた通信教育という感じです。家にその教材が届いた時「ああ、やらなきゃ」と思うような。もしくは着払いで強制的に届いたと自分は思っていたんだけど、「これだいぶ前に頼んでた…」となんとなく思い出した感じというか。

 

これまで、営業くんだけでなく、この前の精神保健福祉士さんとか、友達、ブログを読んでくれているみなさん、たくさんの人のサポートが受けられて、自分が予想しなかった人にも自分の人生を応援されてるんだとわかりました。婚活をはじめてよかった一番の点はここだと思っています。
みんな心配してくれているのはわかるのですが、どうも私にはこのどうしようもない人が人生の履修事項のような気がするのです。もうちょっとお付き合いください。