結婚相談所が少子化対策に貢献している説が本当だった件
長いです。
母が再婚組として婚活することになり、自分の所属していた相談所連盟から、いくつか結婚相談所を比較検討するためにカウンセラーさんの自己紹介やお仕事についての話をしているページを見ました。そしたら、判で押したように、自分たちのやっている仕事は「少子化対策」だという話が出てくるんです。え、でも、結婚したからといって、みんな子供をつくるとも限らないし、なんか違うんじゃない?待機児童問題の解決・緩和とか子供の育てやすさにかかわる仕事ならともかく…
と思ったら、どうも、日本の少子化のもともとの原因というのは、生涯未婚率が上がっていることにあるそうで。でそれはさらになぜかというと、母親側(奥さん)が育児・家事に専念するのが理想の人が過半数を占め、女性側が配偶者に望む年収に到達している男性が割合として少ない(年収400万円以上を望む女性は全体の3/4ほどなのに、男性で年収400万円をクリアしているのが全体の1/4しかいない)ことにあるのではないか、という。これはマッチングに限った話で、そもそも恋人関係にある人が少ないし、恋愛経験も豊富でない、というバックグラウンドもある様子。
山田昌弘『日本の未婚者の実情と、「婚活」による少子化対策の可能性』,講談社,2010,クォーター生活福祉研究19(2),16-31(ブログなので数値は分かりやすく大まかに分数化した)
とすると、結婚相談所は効率よくこの女性のニーズに合わせた男性を引き合わせられるうえ、恋愛経験が豊富でなくとも結婚まで持っていける……十分に少子化対策になるはずです。
え、すごいじゃん、結婚相談所(今更)。
ただ、あくまでも結婚相談所ができるのは「ニーズに合った効率的な出会いの場の提供」なので、先に述べた、女性が配偶者に望む年収をクリアしている男性の数が少なく、ミスマッチが発生していることまではどうにもなりません。これをどう解決できるかな、というのをちょっと考えてみました。
子育てというデカい家事のかたまりを考えたときに、やはり一人専任がいたほうが楽というのはわかりますし、妊娠時につわりでゲロゲロしたり貧血でふらふらしながら仕事をするというのも無茶があるし、そうなると「産めない方に稼ぎをがんばってもらい、産めるほうが子育て含めの家事全般を専任する」というのは筋が通った話です。
同性同士のカップルでも自然と家事割合が多いのは収入の少ない方になるそうですから、出産が可能か可能でないかということもそうですが、どちらかというと本人たちの収入の差によって家庭内の仕事の配分が決まると仮定しましょう。そのため、女性が家事・育児を専任することが多く、収入源を男性に頼ることになるため、男性への年収ハードルが高い、と。
そうなるとこのミスマッチを解決できるのは2つ、
①男性の平均所得を上げる
②カップル毎に家事と仕事の負担割合がそれぞれ違うことが当然であり、それに合わせて仕事を調整できるのがあたりまえの社会を作る(家事育児と会社での仕事の割合を夫婦お互い同率とするなど、バランスをとる)
です。
①の男性の平均所得を上げる、ですが、これはほとんど実現性がありません。男女の雇用が均等になればなるほど、有能な女性が能力に見合った仕事に従事することになります。それは資本主義社会では競争相手が増えることになります。
社会進出してきた女性のうち、これまでいた男性より有能な女性の数と同じ数の男性は、女性が進出してこなかった未来の予測よりも年収が下がります。この先仕事上での男女差がなくなっていけば、性別の年収平均は女性が上がり男性が下がって現在の全体の中央値に収束すると見るのが予測としては正しいわけで(そこまで厳格な女性の待遇改善が実現するのかどうかは置いておいて、理論上はそうなるはずです)。
とにかく、男女の雇用や評価を均等にしていくつもりなら、比較で見たときに男性の年収が今後上がることはないはずです。あとは全体のパイをでかくする(景気を良くする)ことでも実現できますが、そう急に景気も良くならないでしょう。
①よりかは現実的で男尊女卑でもない方法が②です。具体的に言えば男性正社員が「●月からは週3勤務で調整したいのですが」とか、「●月から保育園送迎担当なので残業NGです」と言っても「オッケー!」で終わる社会をつくるということです。男女問わずにその家庭それぞれの割合で家事・育児を負担するのが当然で、男女問わずにやりたいだけ仕事ができる、という状態です。……書いてて思ったけど①と実現度的には同じくらい無理ゲーっぽいですね。でももし実現したなら女性の男性年収ハードルは下がるはずです。完全に男女を平等にしたところで子供が産めるのは女性のみですが、出産手当や産休育休などで働いている時と同じくらいの給付金が出るようになれば、家計上はその間男性に収入を頼らなくても良くなるわけで、そうなれば女性側も、まあ結婚相手はそこまで高収入でなくても大丈夫かな、という見通しになるはずです。
こうしてひとつひとつ考えていくと、社会全体で男性がどれくらい家事・育児に参画(※お手伝いではない)できるようになるのか、そして、女性がどれだけ性別的な偏見や、出産に伴うダウンタイムによるマイナスな評価を受けずにいられるか、などが少子化対策につながっていくように見えます。
最後に私が職場の上司に「結婚を予定しているので、この先産休などを取れるよう、増員してください」と申した際の言葉を紹介しておわりにします。
「そうか、じゃあ求人を出しておいて。
今後同じことが起きるから若い女性は避けて採用しよう!」